「歯周病は生活習慣病」とよく言われていますし、歯周病と糖尿病などほかの生活習慣病の関係においては、お互いの治療がお互いの症状改善になる、などの例も報告されています。
ひと口に「生活習慣」といっても意味が広すぎてわかりにくいので、今回は歯周病に影響を及ぼす生活習慣を整理してみたいと思います。

まずは食事=食習慣についてみてみます。
歯周病の原因菌はプラークをエサに増殖します。甘いもの、やわらかいものを多く食べる習慣はできるだけ減らしたほうが良いでしょう。プラークがつきやすくなり増えてしまうことにつながります。
反対に硬い食べ物もたくさん食べるのもやや問題です。進行しつつある歯周病の悪化を防ぐためには、歯に過度の力が加わるとあまりよくないからです。硬いものを食べる回数を減らしたり、噛むときは左右の歯を同じように使って偏らないようにします。
口の中の食べかすや細菌を洗浄してくれる作用を持つ唾液の分泌は、歯周病の予防に有効です。唾液を多く出すようにするために、よく噛むことも意識します。食材をバランスよく摂ることも大切です。特にたんぱく質、カルシウム、鉄分、ビタミンA・Cなど、歯周組織の抵抗力を高めてくれるような食材を選ぶとより良いでしょう。

酸蝕歯について

一日三回の食事はできるだけ規則正しく摂るようにします。お口の中の衛生状態を悪くしがちな間食を減らす効果が期待できます。
つぎに食事以外の日常生活では、ストレスをためないよう、規則正しく、睡眠も⼗分にとる生活を心がけます。余分なストレスはからだの抵抗力を低下させますし、ストレスが原因の歯ぎしりや食いしばりが歯を傷め、歯周病の進行を早めてしまう可能性もあります。
適度な運動は歯周病や全身の健康によい方向に作用します。からだの抵抗力が高まりますし、歯茎を含め全身の血行がよくなるので、歯周病の進行を遅らせます。
喫煙の習慣も歯周病予防にはよくありません。ニコチンは歯に歯垢を付着させやすくし、免疫力も低下させるといわれています。また、喫煙は血管を収縮させて歯肉の血行を悪くします。歯肉の炎症を起こしていても、ブヨブヨしないうえ、出血も見られないので、発見が遅れがちになります。
煙草を吸っている人は吸わない人に比べて重度の歯周炎になる確率が5~7倍高く、進行速度も平均20年早いと言われています。
いろいろ慌ただしく、ストレスを抱えている方も多いと思われれるので、ここに挙げたすべてを実践するのは難しいと思います。しかし、どういったことが歯周病やからだの健康に良くないかを以前より意識して、少しずつやってみていただければ、その積み重ねが大きな差となって出てくるかもしれません。

新大久保歯科医院