前回コラムでは、妊娠中のお口の中の状態について書きました。女性ホルモンの増加やつわりなどで、口腔衛生上、あまり良くない状態となるので、より注意が必要です。
妊娠中だからといって、口腔ケアの基本はブラッシングで、なんら変わることはありません。ただし、妊娠中はつわりなどでブラッシングが辛くなることもあるので、⼯夫が必要です。具体的には、

妊娠中の口腔ケア ・無理をしないで体調の良いときにブラッシングをする
・子ども用のものなど、ヘッドの小さな歯ブラシを使う
・毛もやわらかめの歯ブラシを使う
・歯ブラシは、小刻みに動かす
顔を下に向けて、前に掻き出すように磨く
刺激やにおいの強い歯磨剤はさける といった方法が有効でしょう。
それでもブラッシングはきついというときは、デンタルリンスや洗口液を使って、うがいだけでも行います。

また、食後に水を飲むだけでも、口内の雑菌やむし歯菌の繁殖を抑え、だ液も出やすくするなどの効果があります。
キシリトール入りのガムやタブレットも⼝にできるのであれば利用しましょう。

もう一つ気になるのは、妊娠中に歯の治療を行ってよいか、ということだと思います。
妊娠前に治しておくのがベストですが、安定期(4ヵ月後半〜8ヶ月)であれば、治療に通っても問題はありません。先延ばしにすると、出産後は育児に追われて、ご自分のことは後回しになりがちです。安定期のうちに悪いところは治しておきましょう。
治療時のレントゲン、麻酔、投薬なども不安になる方もいらっしゃるかもしれません。歯科のレントゲンや麻酔は局部的なものですし、さらにレントゲンでは鉛のエプロンを着用するので、問題はありません。投薬やその他の治療についても、妊娠していることを⻭科医師に告げてさえおけば、おなかの赤ちゃんに影響のない方法や薬を選択して、治療を行ってくれます。

妊娠中は、ストレスに弱くなりますし、不安や心配も絶えないことでしょう。お口のなかは、ちょっとした工夫でトラブルを防ぐことができます。
あまり神経質にならずにリラックスした気分で妊娠期を過ごしましょう。

新大久保歯科医院