確かな記憶ではありませんが、日本で電動歯ブラシが知られるようになって、すでに20年以上は経っていると思います。年々機能やデザインの優れたものが出てきていて、健康志向も手伝って、愛用者も多くなっているようで、3割近くの人が使っているというデータもあるそうです。今回は電動歯ブラシについて書いてみます。

 電動歯ブラシというとおり、基本的にはブラシを電気の力で動かして歯を磨くものです。どれにしようかとなると、音波式や回転式などいろいろ聞くし、価格を見てもピンからキリまであって、どれが良いかよくわからないと思います。電動歯ブラシのなかで、振動数が毎分約2万6000~4万回くらいと多い製品は、音波式と呼ばれています。音波式の振動数は音の単位ヘルツ(Hz)に直すと約210~330ヘルツで、これが人間の耳で聞き取れる領域(16~2万Hz)=音波、であることからそのように呼ばれています。この音波の高速振動で、ブラシが接していない周囲2~3mm部分までは汚れを落とすことができるので、軽くあてるだけで磨くことができます。また細菌が歯に付着する原因となる物資(線毛)を破壊する効果もあります。

 比較的安価な電動歯ブラシはこれほど高速ではなく(毎分3000~1万回)、手動より早く動くだけという感じでしょうか。数百円で買える物などもありますが、数回使うと毛先が広がってしまう、ブラシの交換はできないなど、使い捨てという感じで、あまりお奨めではないかもしれません。

超音波式というタイプもあります。これはブラシのヘッド部分に超音波発生装置が内臓され、この超音波振動で、1.歯の表面に付いたプラークの付着力を弱める、2.音波式同様、細菌の線毛を破壊する、3.歯周組織の細胞を活性化させ、免疫力を高める、4.口内炎を予防する、などの効果があるといわれています。
この方式では、合わせブラシを手で動かして浮いた汚れを落とします。

電動歯ブラシは振動数だけでなく、振動の仕方や振幅によって効果も変わってきて、各社独自性を出しています。回転式というのは、そういったブラシの動き方のひとつです。
便利なものでありますが、普通の歯磨きと違って、振動が頭に響く感じや、くすぐったい感じがするものもありますし、音の大きさ、重くて手が疲れるなど、馴染めない、使いにくいという方もいらっしゃるようです。磨き方にもコツがあります。

一概に手磨きよりも電動歯ブラシが良いというわけではありませんが、特に音波式の歯ブラシなどで磨いた後のツルツル感は、手磨きではなかなかできないものです。歯科医院も相談に乗ってくれると思いますし、ご自分にあったものを見つければ、歯磨きがもっと楽しいものになるかもしれません。

新大久保歯科医院